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ロングトーンのついでにアドリブの練習をしてみよう
トランペットを演奏するための第一歩としてロングトーンについて詳しく書いてきましたが、そのロングトーンを利用してコードトーンやハーモニーセンスを磨くことも可能です。
もちろんこの練習をやったからといってすぐに自由なアドリブを演奏できるようになるとまでは言いません。
しかし特にコードネームを見てもとっさにコードトーンが出てこないような初心者の方にとってこの練習は、アドリブに必要な知識を無理なく付けていくのに大いに役立つと思います。
あくまでロングトーンが主ですから、これまでに書いたロングトーンの要点をおさえて練習することが大前提です。
トランペットでのロングトーンのやり方を深掘りしてみる。
トランペットのロングトーン。実践編!
どんな人におすすめか
●練習時間に限りがあり、なるべく基礎練習を短く済ませたい人。
●コードネームを見てもぱっとコードトーンが思い浮かばない初心者。
●アドリブをやってみたいが、難しい知識をなるべく覚えずに演奏したい。
●実はそこそこアドリブはできるし、決してトランペット初心者というわけではないが、アドリブになると上手くトランペットをコントロールできなくなってしまう人。
この練習で取り上げる曲はコードが目まぐるしく変わることのないシンプルな曲にしましょう。
複雑な曲へ挑戦するのはこの練習にある程度慣れてからの方が無難かと思います。
参考:初心者向けジャズスタンダード曲レパートリー水増し術
今回はシンプルな曲としてAutumn Leavesを取り上げてみたいと思います。
※例によって文中に出てくるコードネームや音名は特記のない限りBb表記です。
Autumn Leavesを用いた具体例
まずはルートを
伴奏と共にそのコードのルートをロングトーンしていきます。
念のため書いておきますが「ルート」とはコードの1度の音のことです。
例えばDm7であればD(レ)の音です。
Autumn Leavesの各コードのルートをロングトーンしていくとこんな感じになります。
もし吹きづらいようであればオクターブ下げても上げても構いません。
何度も書きますが、あくまでロングトーンをすることが主です。
無理なく吹くことができ、良い響きを感じることのできる音域を心がけましょう。
テンポにもよりますが、ブレスは4小節か8小節に1回くらいを目安にしましょう。
頻繁に浅くブレスするようではこの練習の趣旨から外れてしまいます。
また各音のつなぎはタンギングしてもスラーでも構いませんが、どちらでやるのかはっきりと決めてからスタートするようにしましょう。
単に音を吹くだけでなく、流れている伴奏と自分の吹く音が混ざり合うのをよく感じ取ることによってハーモニーに対する感覚を磨いていくことになります。
ルートを吹くことに慣れてきたら3度、5度、7度にも同様にトライしてみましょう。
発展形#1
ルート、3度、5度、7度がそれぞれスムーズに吹けるようになったらそのコードトーンのいずれかの音同士を自由に繋げていくようにしましょう。
自由にといってもランダムにではなく、なるべく前の音と近いものを探してスムーズなラインになるよう意識してみましょう。
発展形#2
コードの変わり目で音を変えるときに装飾的に何か別の音も入れてみましょう。
この場合は発展形#1のようにルート、3度、5度、7度を自由に使うのではなく、ルート一つに絞ってしまった方が初めのうちはやりやすいかと思います。
この音は間違っているかもしれないとかはあまり考えず、なんとなくいろんな音を吹いて試してみましょう。
自分の耳で聞いておかしいと思えばその音は使わなければ良いだけですし、良い感じだなと思ったらその音がコードに対して何度だったのか後で確認してみましょう。
そしてロングトーンとして吹く音以外の音をどんどん増やしていけば少しずつアドリブっぽくなってくるはずです。
もちろん初めに書いたとおり、今回書いたようなやり方では自由自在で完璧な(?)アドリブにはなりません。
しかし正攻法で音楽理論を勉強せずともそれっぽくアドリブを演奏することが可能になりますし、この作業は過去にも書いたように耳を鍛えるトレーニングとなります。
またこの練習はアドリブになるとトランペットのコントロールが上手くいかなくなってしまうという人にも効果があります。
そのためにもあくまでロングトーンが主であるという原則を守る必要があります。
なんとなく心当たりのある方は初心者向けの練習とバカにせず、ぜひお試しください。
アドリブをするために多くの選択肢を持つということ
ジャズでアドリブを演奏するためには音楽理論をきっちり勉強していろんなことを覚える必要があると思われるかもしれませんが、決して正攻法なやり方だけが正解というわけではありません。
あくまでアドリブを始めるための取っ掛かり、そしてその後音楽理論を学ぶための下地として今回ご紹介した練習はとても役に立つものであると思います。
また以前書いた、限られたスケールだけを使ってアドリブするやり方と組み合わせて練習してみればそれだけでも選択肢は増えます。
なるべく覚えない!初心者向けアドリブ講座 #1
なるべく覚えない!初心者向けアドリブ講座 #2
なるべく覚えない!初心者向けアドリブ講座 #3
その上これと合わせてトランスクリプション(ゴールデンウィーク、思いっきり練習したい人のためのトランスクリプションのすすめ。)にも手をつけることができれば、一見難しそうに見えてしまう音楽理論を理解していなかったとしても「そこそこの」アドリブはできるようになります。
※レッスンでは正攻法であるアドリブのための音楽理論も当然お教えしています。念のため。
というわけで今回はロングトーンのついでにアドリブ練習にもなるトレーニングをご紹介しました。
くどいようですが、あくまでも今までのロングトーンの記事を読んでいただいたうえでロングトーンがメインの練習であるということを忘れないようにしましょう。