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ワンポイントレッスン

トランペットでのロングトーンのやり方を深掘りしてみる。

トランペットを吹くカエル

トランペットを上達するうえで非常に大事な練習とされるロングトーン。
当サイトをご覧いただいている方も必ずや練習したことがあるでしょう。

しかしトランペット教室をやっていて多くのトランペットプレイヤーと関わるうちに、そのロングトーンを練習する目的や気に留めるべきポイントなどが意外とおろそかにされていることが多いことに気づきました。

今回はトランペットを演奏するための超基礎であるロングトーンについて書いてみたいと思います。

 

 

なぜロングトーンが大事なのか

そもそもの話ですが、なぜロングトーンは大事な練習だとされているのでしょうか。
それはロングトーンこそが「トランペットで音を出す」という作業の最もシンプルな形であるからです。

何らかの曲やエチュード、難しい基礎練習をトランペットで吹こうとするときにうまくいかないと感じることはよくあるかと思いますが、その原因は何でしょうか?
音が高いから、音の跳躍する幅が大きいから、タンギングが追いつかない、そもそも音色が汚いというのもあります。

それらをものすごく平たく言うのならば「トランペットで音を出す」という作業がちょっとうまくいっていないのです。考えてみれば当たり前のことですが()
当然ほとんどの方はできない要素(高い音、跳躍、タンギングなど)を直接練習するでしょうし、決してそれは間違いではありません。

しかし上に書いたようなことが起こったときにそれらの要素を一旦取り外し、ロングトーンとそれにまつわる体と頭の働きを見直してみるということは上達のための重要なヒントとなり得ますし、多くの人が思っているより様々な問題が改善します。

ただしロングトーンさえちゃんとやっていれば全てが解決するというロングトーン万能論では全くありませんのでご注意を。

 

あくまでもロングトーンを見直すことによって演奏技術全体の底上げが可能になるということです。

 

 

ロングトーンを練習する目的

ロングトーンを既に練習している皆さんは普段何のためにロングトーンを練習していますか?
先輩にやれと言われたから?世間で大事だと言われているから?みんなとピッチを合わせるため?
いずれの理由にしろやらないよりはマシかもしれません。

しかし音楽に限ったことではありませんが、あなたの行動全てに明確な目的を設定することは少ない努力で最大限の成果を得るためにとても重要なことです。
ですからロングトーンというシンプルな練習にも目的を設定してやりましょう。

よくいわれている目標を具体的に挙げてみると例えば綺麗なアタック(音の出だし)、安定したピッチ、綺麗な音色、深いブレスなど様々なことが考えられるのですが、これら全てのことを初めから念頭において練習するのはかなり大変なことです。

これはその人の演奏レベルやその時々に抱えている問題ごとに優先順位が異なってきます。
しかしその優先順位をつける作業はやはりある程度経験を積んだ方に指導を仰ぐのが無難でしょう。

金村盡志トランペット教室っていう選択肢もありますよっと

 

 

とりあえずはウォームアップとしてやってみる

一般的にはロングトーンの最大の目的はウォームアップとされています。
一言でウォームアップというと唇のウォームアップと思われがちですがそれは間違いです。

唇だけでなくトランペットを吹くのに使う体全体、さら言えば響きを作り出すために必要な頭のウォームアップという意味です。
唇のコンディションをうまく保つには参照。

そもそも「トランペットで音を出す」という作業を見直すという観点からもその日の吹き始めの時点でロングトーンを行うのは非常に合理的です。

 

 

ロングトーンに対する誤解

ここでロングトーンに関してよく起こりがちな誤解について書いておきましょう。

 

1.お腹の支えが大事

ロングトーンだけにとどまらずトランペットを演奏するうえで重要視される言葉ですが、そもそもお腹の支えって何でしょう?
トランペットプレイヤー10人に聞いたらその定義にはかなりのばらつきが出るのではないでしょうか。

お腹の支えという言葉が誤っているというわけではありません。
しかしこの言葉のように幅広く解釈することのできる言葉は教えを受ける側にとっては迷惑でしかありません。

例えば「深くブレスをしましょう」とか「腹筋に力を入れましょう」なら(それが正しいかどうかは別として)もう少し定義ははっきりしますし、もし何らかの複合的な状態を指すのであればそれをきっちりと相手に伝わる言葉で説明すべきです。

レッスンでお腹の支えという言葉をやたらと使い、その内容をきっちり説明しようとしない指導者は指導能力が低いと言わざるを得ません。
指導する側がどんなに優れた演奏能力を持ち、言っていることがどんなに正しくとも、それが生徒に伝わらなければ何の意味も無いからです。

 

 

2.アンブシュアやアパチュアを一定にしなければいけない

車をまっすぐに一定速度で運転をしようというときに、そのためにはアクセルとハンドルを固定しましょうと言ったらどうなるでしょうか?
多くの人は周りの景色やスピードメーターをチラ見しながらアクセルを調整するでしょうし、ハンドルだって微妙に切って方向を修正しなくてはなりません。

そもそも演奏者は機械じゃないのですから完璧に真っ直ぐな音のみを追求することにそこまで大きな意味はありません。

また別の角度から考えると、アンブシュアやアパチュアを一定に固めて吹くことによって真っ直ぐな音を出しましょうという頭の使い方では身体が緊張してこわばっていくばかりです。

 

本来はロングトーンをしながら「うーん、今日も俺の音ってよく響いてて良い音だな」と聴こえる状態が理想です。

その結果として音はだいたい真っ直ぐで、よくよく考えてみたらアンブシュアやアパチュアもほぼ一定だった気がするというのなら良いのです。
しかし初めからそれらの形を固定することを目指してしまっては「上達しないロングトーン」に陥る原因となってしまいます。

 

 

3.チューナーに合わせなくてはいけない

音程を無理に合わせる必要はありませんし、基本的には使わなくて結構です。

ただしチューナーをチラ見して今の音がどのくらいずれているかを確かめることは音感を育むうえで役立つと思います。
くれぐれもチューナーに意識を集中させてガン見してはいけません。チラ見です(笑)

 

上でスピードメーターの話が出ましたが、車の運転でもスピードメーターをガン見してはいけませんよね?
スピードメーターをガン見してしまうと曲がらなくてはいけない場所や信号、周囲の状況に注意が行かなくなり、ゴールへたどり着くという目的を達成できなくなってしまいます。

トランペットでも同様に、チューナーに意識を集中させてしまうことにより音程以外の重要なこと(音色やその音が空間でどう響いているか)に注意が行かなくなってしまい、トランペットで美しい音を響かせるという大きな目的を達成できなくなってしまいます。

ただ真っ直ぐで音程がばっちりなだけで良いのならトランペットなど吹かずにシンセサイザーでも弾いてろって話です。

 

 

4.ロングトーンは唇に大きな負荷をかける。もしくは力みの原因になる

これは今回ロングトーンについてネットで下調べしたら出てきたものです。
一般の方が書いているのならともかく、プロの演奏家として活躍されている方々が書いているものだったので一瞬眼を疑いましたが、よく読んでみると決して誤ってはいないどころかごくごく当たり前のことを書かれていました。
ただしこれを一般の方が読んだらかなりの確率で誤解するだろうなということで書いておきます。

どちらも趣旨としては、「ロングトーンをあまりやりすぎると唇に大きな負荷をかけてしまう」「ロングトーンを無理なやり方で吹くと力んで吹く原因となる」ということです。

逆の言い方をするならばロングトーンというシンプルな練習であっても正しいやり方で適量でやらなければいけないよという当たり前のことです。

決してロングトーンという練習そのものが危険だということではありません。

 

というわけで長くなってしまいましたが、正しいロングトーンの練習方法とは何なのかということを次回に書いてみたいと思います。

先に楽譜だけ出しておくと、以前も何度か記事中で使ったことのあるこの練習メニューの1.Long Tonesです。

 

続き
トランペットのロングトーン。実践編!

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