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なるべく覚えない!初心者向けアドリブ講座 #1
ジャズのアドリブを全くやったことがないんだけどどうすれば良いの?という質問を一般のプレイヤーだけでなく、知り合いのジャズを専門としないプロプレイヤーからも尋ねられることがあります。
1からジャズのアドリブを、となるとある程度は音楽理論などを学ばなければいけないということになるのですが、幸いにしてそのようなものはわざわざレッスンに通ったり教則本など手にしなくともインターネット上でいくらでも解説されています。
しかしアドリブ経験や知識がほぼゼロの人がそういった手段でアドリブについて学ぼうとすると知らなければならないことが多すぎて気持ちがくじけそうになってしまう方が多いでしょう。
それは初めからあまりにも多くの知識に触れてしまうからではないでしょうか。
確かに一流プレイヤーのような演奏をするためにはある程度の理論や知識も必要です。
しかしジャズを演奏し始めた人が急にそれらの知識をつけたところで上手く演奏に活かすのは困難なことですし、その必要もありません。
今までジャズを演奏したことのなかった人は「とりあえず」何を知るべきで、どんな練習をすれば良いか。
今回はこれにフォーカスしてみたいと思います。
まずは念のため、楽器によって使用するキーが違うということを書いておきます。
詳細な解説はいろんなサイトで行われているので「ジャズ 移調楽器」とかのキーワードでググってみましょう。
Bb管のトランペットであればコンサートキー(実音)で書かれた楽譜を全音上げれば読み替えが可能になりますが、初心者の方にとっていちいち読み替えをするのは非常に大変なことです。
素直にBbのジャズスタンダードバイブルを買ってしまいましょう。
うちはトランペット教室ですので以下に書く音名やコードネームなどは注釈のない限り全てBb表記に統一することとします。
また当たり前すぎることを書くようですが、音楽にはキー(=調)というものが存在します。
キーは全部で12種類あり、それぞれメジャーとマイナーが存在するので、それだけでも24種類のスケール(=音階)が・・・と考えると頭がパンクしてしまいます。
当然全てのキーのメジャー、マイナースケールを演奏できるに越したことはないのですが、初めから全てできる必要はありません。
あなたがプロを目指すのならともかく、そうでないのなら初めから全部吹けるように練習するのは時間と労力の無駄です。
何年も様々なスケールばっかり練習していて一向にアドリブができないという方、見たことありませんか?(笑)
メジャーとマイナーを比べると、マイナーはメジャーから派生したものですからちょっとブレがあります。
ですからメジャースケールの中で最もオーソドックスな「ドレミファソラシ」の音階を中心に考えましょう。
ちなみにこのスケールはアイオニアン、日本ではイオニアンと呼ばれることが多いようですがどっちで読んでもおそらく問題はないでしょう。
現段階では特に名前を覚える必要はありませんからどんどん流し読みしてください。
※同様に上に書いてある「スケールのブレって何?」とか考えてはいけません。今は必要最低限なこと(=ドレミファソラシ)だけを頭に入れて実際の演奏へと結びつけていくことが先決です。
Cメジャー(実音Bbメジャー)=「ドレミファソラシ」だけではあまりにも物足りないという方は、調号が少なく頻繁に演奏されるF,G、そしてせいぜいDでも吹ければ当面は良しとしましょう(詳しくは今後書きます)。
さて、とりあえず「ドレミファソラシ」を確認したらiReal Proなどの伴奏アプリやYouTubeに転がっているバッキングトラックなどを使ってアドリブの練習をしてみましょう。
Cメジャー=「ドレミファソラシ」でできる曲は以下の通りです。
Mack The Knife (別名Moritat)
Blue Monk (Bbブルース)
※どちらもバッキングトラックのコード表記はコンサートキーになっていますがトランペットでも問題なく練習できます。
これらはBb管のトランペットの「ドレミファソラシ」だけで演奏することが可能な曲ばかりです。
他にもDoxyやI Got Rhythmなどもシンプルなコードチェンジをしており、初心者が練習するのにうってつけです。
どうでしょう?上手くいきましたか?
自分が何やってるんだか全然分からんという方は多いかと思います(笑)
そういう方は下へお進みください。
アドリブを始めたばかりの方が上のように「ドレミファソラシ」だけで演奏しろと言われても途中で何やってんだか分からなくなる、もしくはいまいちピンとこないという方は多いでしょう。
これは多くの場合、使うことのできる音が多すぎることによってこのようなことが起こってしまうのです。
いろんな音を使うことができるということはその分多彩な表現が可能になるということです。
しかし初心者にとって選択肢が多すぎるということは混乱の元ですから、ここでは思い切って使うことのできる音を制限してしまいましょう。
そこで役に立つのがペンタトニックスケールです。
楽譜にするまでもありませんが、ご覧いただいて分かる通り「ドレミソラ」だけで成り立つ音階です。
基本となる音(ルートと呼びます)から1、2、3、5、6度の音です。
ペンタトニックスケールに関する詳しい解説は今は置いておきましょう。
1、2、3、5、6度というのも覚えなくて構いません。
繰り返しになりますがここでは目先の演奏に役立つ知識以外のものはすっ飛ばします。
ついでに言えば楽譜に書いてある一つ一つのコードなどなんとなく眺めているだけで十分です。
「ドレミソラ」だけで(オクターブ上や下の音は使っても良い)さっきと同じように伴奏に合わせてアドリブしてみましょう。
「ドレミファソラシ」を全て使うよりペンタトニックスケールの方がまだまとまりのある感じになりはしないでしょうか?
音楽理論などを学んだことのない、もしくは学んではみたけどいまいち理解できていない初心者の方にとってこの練習は良いトレーニングとなるはずです。
1.音数は少なく
2.テーマをもじって
3.ペンタトニックスケールにこだわりすぎない
この練習で重要なのは「アドリブを上手く演奏する」という、いわばアウトプットする能力を磨くことではありません(もちろんこの練習をしているだけで勝手に磨かれますが)。
流れている伴奏に合わせて何かの音を出してみて、それが伴奏に対してどんな感じであるかを感じ取る「インプット」の能力を磨くことが重要です。
僕は「耳を育てる」という言い方をします。
ここまで書いてきたことに従ってアドリブを練習し、上手くいかなかったとしても決して落ち込むことはありません。
むしろ伴奏に対して「なんか上手くいってないな」と感じることこそがトレーニングになるのです。
慣れてくれば必ずペンタトニックスケールやテーマの雰囲気を生かした初歩的なアドリブをすることが可能になります。
ですからこれは単に初心者でもアドリブができるようになれるよ!良かったね!というだけの話ではなく、本格的にアドリブについて学ぶ重要な下地を作るトレーニングでもあります。
目安として1ヶ月間、1回30分から1時間として2日に1回ずつこの練習に取り組んだとすればかなりの効果を実感できるはずです。
上でも書きましたが、この練習は初心者向けに使える音を制限しています。
逆の言い方をすればここで書いたことだけでできることには限界が存在します。
そりゃあそうです。II-V-Iとかドミナントモーションとかそういう話を全部すっ飛ばしているのですから(笑)
ですからこの練習にそこそこ慣れてきてしまったら早々と次のステップへと進むことをおすすめします。
ペンタトニックスケールを突き詰めようなどと考えるのは無駄とまでは言いませんが、今の段階では非効率的です。
実際のレッスンでも少しできるようになったらどんどん他のキーへ行ったり、音楽理論的な話へ進んだりします。
余談ですが、今回書いたようなことにきっちり取り組めばポップスやロックなどでよく演奏されるごく短くてシンプルなアドリブソロならかなりカッコいいものが演奏可能になります。
本格的にジャズをやりたいわけではなく、ちょっとだけアドリブをやりたいという方にもおすすめします。
関連:なるべく覚えない!初心者向けアドリブ講座 #2
関連:なるべく覚えない!初心者向けアドリブ講座 #3
1からジャズのアドリブを、となるとある程度は音楽理論などを学ばなければいけないということになるのですが、幸いにしてそのようなものはわざわざレッスンに通ったり教則本など手にしなくともインターネット上でいくらでも解説されています。
しかしアドリブ経験や知識がほぼゼロの人がそういった手段でアドリブについて学ぼうとすると知らなければならないことが多すぎて気持ちがくじけそうになってしまう方が多いでしょう。
それは初めからあまりにも多くの知識に触れてしまうからではないでしょうか。
確かに一流プレイヤーのような演奏をするためにはある程度の理論や知識も必要です。
しかしジャズを演奏し始めた人が急にそれらの知識をつけたところで上手く演奏に活かすのは困難なことですし、その必要もありません。
今までジャズを演奏したことのなかった人は「とりあえず」何を知るべきで、どんな練習をすれば良いか。
今回はこれにフォーカスしてみたいと思います。
楽器によるキーの違い
まずは念のため、楽器によって使用するキーが違うということを書いておきます。
詳細な解説はいろんなサイトで行われているので「ジャズ 移調楽器」とかのキーワードでググってみましょう。
Bb管のトランペットであればコンサートキー(実音)で書かれた楽譜を全音上げれば読み替えが可能になりますが、初心者の方にとっていちいち読み替えをするのは非常に大変なことです。
素直にBbのジャズスタンダードバイブルを買ってしまいましょう。
うちはトランペット教室ですので以下に書く音名やコードネームなどは注釈のない限り全てBb表記に統一することとします。
とりあえず「ドレミファソラシ」=メジャースケールを
また当たり前すぎることを書くようですが、音楽にはキー(=調)というものが存在します。
キーは全部で12種類あり、それぞれメジャーとマイナーが存在するので、それだけでも24種類のスケール(=音階)が・・・と考えると頭がパンクしてしまいます。
当然全てのキーのメジャー、マイナースケールを演奏できるに越したことはないのですが、初めから全てできる必要はありません。
あなたがプロを目指すのならともかく、そうでないのなら初めから全部吹けるように練習するのは時間と労力の無駄です。
何年も様々なスケールばっかり練習していて一向にアドリブができないという方、見たことありませんか?(笑)
メジャーとマイナーを比べると、マイナーはメジャーから派生したものですからちょっとブレがあります。
ですからメジャースケールの中で最もオーソドックスな「ドレミファソラシ」の音階を中心に考えましょう。
ちなみにこのスケールはアイオニアン、日本ではイオニアンと呼ばれることが多いようですがどっちで読んでもおそらく問題はないでしょう。
現段階では特に名前を覚える必要はありませんからどんどん流し読みしてください。
※同様に上に書いてある「スケールのブレって何?」とか考えてはいけません。今は必要最低限なこと(=ドレミファソラシ)だけを頭に入れて実際の演奏へと結びつけていくことが先決です。
Cメジャー(実音Bbメジャー)=「ドレミファソラシ」だけではあまりにも物足りないという方は、調号が少なく頻繁に演奏されるF,G、そしてせいぜいDでも吹ければ当面は良しとしましょう(詳しくは今後書きます)。
伴奏をつけて吹いてみよう
さて、とりあえず「ドレミファソラシ」を確認したらiReal Proなどの伴奏アプリやYouTubeに転がっているバッキングトラックなどを使ってアドリブの練習をしてみましょう。
Cメジャー=「ドレミファソラシ」でできる曲は以下の通りです。
Mack The Knife (別名Moritat)
Blue Monk (Bbブルース)
※どちらもバッキングトラックのコード表記はコンサートキーになっていますがトランペットでも問題なく練習できます。
これらはBb管のトランペットの「ドレミファソラシ」だけで演奏することが可能な曲ばかりです。
他にもDoxyやI Got Rhythmなどもシンプルなコードチェンジをしており、初心者が練習するのにうってつけです。
どうでしょう?上手くいきましたか?
自分が何やってるんだか全然分からんという方は多いかと思います(笑)
そういう方は下へお進みください。
使える音をさらに絞るためのツール
アドリブを始めたばかりの方が上のように「ドレミファソラシ」だけで演奏しろと言われても途中で何やってんだか分からなくなる、もしくはいまいちピンとこないという方は多いでしょう。
これは多くの場合、使うことのできる音が多すぎることによってこのようなことが起こってしまうのです。
いろんな音を使うことができるということはその分多彩な表現が可能になるということです。
しかし初心者にとって選択肢が多すぎるということは混乱の元ですから、ここでは思い切って使うことのできる音を制限してしまいましょう。
そこで役に立つのがペンタトニックスケールです。
楽譜にするまでもありませんが、ご覧いただいて分かる通り「ドレミソラ」だけで成り立つ音階です。
基本となる音(ルートと呼びます)から1、2、3、5、6度の音です。
ペンタトニックスケールに関する詳しい解説は今は置いておきましょう。
1、2、3、5、6度というのも覚えなくて構いません。
繰り返しになりますがここでは目先の演奏に役立つ知識以外のものはすっ飛ばします。
ついでに言えば楽譜に書いてある一つ一つのコードなどなんとなく眺めているだけで十分です。
「ドレミソラ」だけで(オクターブ上や下の音は使っても良い)さっきと同じように伴奏に合わせてアドリブしてみましょう。
「ドレミファソラシ」を全て使うよりペンタトニックスケールの方がまだまとまりのある感じになりはしないでしょうか?
音楽理論などを学んだことのない、もしくは学んではみたけどいまいち理解できていない初心者の方にとってこの練習は良いトレーニングとなるはずです。
プラスαのコツ
1.音数は少なく
いくらペンタトニックスケールに限るとはいえ、たくさんの音を吹くのは大変です。
たくさん吹いてかっこいい演奏をしたいという気持ちはよく理解できますが、ここはなるべく少ない音数でシンプルに演奏しましょう。
多くの音を吹くと頭の中が忙しくなってしまいますし、多くの音を吹くこと自体は演奏に慣れてくれば嫌でもできるようになります。
吹きっぱなしではなく、むしろ音を吹いていない時間を作ることを意識しましょう。
ケニードーハムやマイルス、チェットベイカーの演奏などは非常に参考になります。
一人で自分のことをべらべら喋る男より、黙って相手の話に耳を傾け、たまに相槌をうってくれるような男性がもてるのと同じですねちくしょー。
2.テーマをもじって
テーマの一部を拝借してアドリブ中に演奏するのだって立派なアドリブの手段の一つです。
これはそんなに難しくないですし、タイミングが合うと大変かっこよく聞こえますのでぜひやってみましょう。
3.ペンタトニックスケールにこだわりすぎない
もし変えた方が良いと感じた音があればペンタトニックスケールから外れたものでも積極的に使ってみましょう。
「なんだかよくわかんないけどここはミ♭の方が良いような気がするんだよなー」ということはままあることです。
後にコードトーンを学んでからよく見てみるとそこのコードがF7だったりするわけです。
はじめのうちはよくわからないかもしれませんが、この練習に慣れてきた結果あなたの感覚的にこの方が良いと感じるようであれば思い切ってペンタトニックスケールをはみ出すことも選択肢の一つとして残しておきましょう。
アドリブを「する」ことが重要なのではないということ
この練習で重要なのは「アドリブを上手く演奏する」という、いわばアウトプットする能力を磨くことではありません(もちろんこの練習をしているだけで勝手に磨かれますが)。
流れている伴奏に合わせて何かの音を出してみて、それが伴奏に対してどんな感じであるかを感じ取る「インプット」の能力を磨くことが重要です。
僕は「耳を育てる」という言い方をします。
ここまで書いてきたことに従ってアドリブを練習し、上手くいかなかったとしても決して落ち込むことはありません。
むしろ伴奏に対して「なんか上手くいってないな」と感じることこそがトレーニングになるのです。
慣れてくれば必ずペンタトニックスケールやテーマの雰囲気を生かした初歩的なアドリブをすることが可能になります。
ですからこれは単に初心者でもアドリブができるようになれるよ!良かったね!というだけの話ではなく、本格的にアドリブについて学ぶ重要な下地を作るトレーニングでもあります。
目安として1ヶ月間、1回30分から1時間として2日に1回ずつこの練習に取り組んだとすればかなりの効果を実感できるはずです。
少し慣れてきたら
上でも書きましたが、この練習は初心者向けに使える音を制限しています。
逆の言い方をすればここで書いたことだけでできることには限界が存在します。
そりゃあそうです。II-V-Iとかドミナントモーションとかそういう話を全部すっ飛ばしているのですから(笑)
ですからこの練習にそこそこ慣れてきてしまったら早々と次のステップへと進むことをおすすめします。
ペンタトニックスケールを突き詰めようなどと考えるのは無駄とまでは言いませんが、今の段階では非効率的です。
実際のレッスンでも少しできるようになったらどんどん他のキーへ行ったり、音楽理論的な話へ進んだりします。
余談ですが、今回書いたようなことにきっちり取り組めばポップスやロックなどでよく演奏されるごく短くてシンプルなアドリブソロならかなりカッコいいものが演奏可能になります。
本格的にジャズをやりたいわけではなく、ちょっとだけアドリブをやりたいという方にもおすすめします。
関連:なるべく覚えない!初心者向けアドリブ講座 #2
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