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ジャズスタンダードバイブル トランペットで全部吹く。#45(完)
日本全国のジャムセッションで共通の曲集として使われているジャズスタンダードバイブル。通称黒本。
そのジャズスタンダードバイブルを最初から最後までトランペットもしくはフリューゲルホルンで演奏してみようという企画です。
一応ルールとしては
テーマを1コーラス、そしてアドリブを1コーラスずつ演奏。
ただし伴奏に使うアプリ、iReal proで再現困難な曲は除外。
撮影機材は
確か一昨年の11月くらいから収録を始めて大体1年ちょい。
今回でやっとこの悪夢のような企画も終わりです。
途中で2曲ほどスキップしましたが、それでも227曲中225曲のテーマとアドリブを収録することができました。
ここまでやって思ったことは、音楽はやっぱり好きな曲を好きな時に演奏するのが一番ってことです(笑)
決して「音楽は楽しまなきゃ!」などと空虚で頭すっからかんな音楽論を振りかざすつもりはありませんが、何かに強く追われて音楽を演奏するということは間違いなくその音楽の持つ生命を失わせることに繋がると改めて実感しました。
というわけで最後の更新です。45回目!
※難易度分けは初級- 初級+ 中級- 中級+ 上級- 上級+の順。文中に出てくるキーや音名などは全てinBb表記。
You And The Night And The Music
中級-
耳に残りやすいシンプルなメロディでありながらもDマイナーとGマイナー、そしてDメジャーが入り乱れるような感じで、ちょっとややこしい曲です。
曲の知名度としては比較的高い方ではあると思いますが、そこまで頻繁にコールされるような気はしません。
特に曲のエンディングはどうすれば良いものかと戸惑ってしまうことが多いので要注意です。
個人的はジャムセッションなどであればカットアウト(テーマの最後の音を伸ばさず、全員でバチッと切る)が無難かなあと思います。
You Don't Know What Love Is
中級-
何度撮っても演奏が上手くいかず、なぜかトランペットをコミッティにしたら一発でOKテイクになったという謎現象が起きました(笑)
この動画のように少し速めのバラードで演奏しても、もしくは通常通りスローに演奏してもしっくり来る曲です。
途中で頻出するEb7に少し頭を悩ませるかもしれませんが、僕が普段演奏するときは素直にEb7としてではなくブルージーなGマイナーと思って処理しています。
また各Aセクションの6小節目も急いで2連結のII-Vとして処理するよりも、Gマイナーへ向かっているという点を重視しています。
どちらも全体の曲調から見てその方が自然な感じがしますし、結果的にメロディーがスムーズに繋がっていきます。
もちろんそうしなければいけないということではありませんが。
マイルスをはじめ多くのトランペットプレイヤーが演奏しているように、トランペットで演奏するにはうってつけの曲です。
スモーキーに渋くキメたいものですね!できないけど(笑)
You Must Believe In Spring
上級+
同じモチーフを手を変え品を変え延々と………正直言ってルグランの曲、あまり好きじゃないです。
しかしその中でもどこか物悲しそうというか、なんとなくフランスっぽい雰囲気を漂わせているあたりはさすがというかなんというべきか。
ややこしいコードチェンジを持つ曲なのでジャムセッションでのコール頻度は低いのですが、昔から人気のある曲で、近年のスタンダード曲を中心とする作品でも取り上げられることが少なくありません。
ところどころにディミニッシュを用いたハーモニーが美しく、演奏していても楽しい曲で……って案外僕はこの曲好きなのかもしれません(笑)
トランペットで演奏するには調号が多く、フィンガリングに少し苦労するかと思います。
またそうでなくとも見慣れないコードが多く出てくるため、楽譜をぱっと見た感じは難しそうで敬遠してしまうかもしれませんが、努力して練習するのに見合うとてもカッコいい曲です。
あ、結局大好きだなこの曲……
You Stepped Out Of A Dream
初級+
Dメジャーの曲ではありますが、全体的に爽やかな曲調ですし、ほどよく転調していくので演奏していてとても気持ちのいい曲です。
ここではなんとなくラテンの7拍子で演奏してみました。もう完全におふざけです(笑)
本来はもちろん4拍子でアップテンポのスイングやラテンで演奏されることの多い曲なのですが、ジャムセッションでのコール頻度は残念ながら高い方ではありません。
決して難しい曲ではないのでもっといろんなところで演奏されると良いなと思ってしまいます。
これは個人的な好みでもありますが、この曲のテーマはきっちり正確に演奏するよりもふわっと演奏した方が良いような気がします。
まあタイトルからわかるように夢が題材になっていますしね(?)
You'd Be So Nice To Come Home To
初級-
ついにラスト!
最後の曲は誰もが知っているこの曲です。
当然ジャムセッションでもよくコールされますし、比較的シンプルで取っ付きやすい曲です。
僕自身も学生時代より数え切れないくらい演奏してきた曲ではありますが、未だに苦手なところが一つだけあります。
それはCセクションの1,2小節目、F#m7b5 B7|Em7となっている部分。
冒頭のF#m7b5に気を取られてなんとなくぎくしゃくとした演奏になってしまいます。
まあちゃんと練習すれば良いんでしょうけど、ちゃんとした練習を身につける前になんとなく演奏できるようになってしまった曲というのは後で改めて演奏してみると案外克服しきれていない部分が露呈したりします。反省。
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ジャズスタンダードバイブル トランペットで全部吹く。#44