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ジャズスタンダードバイブル トランペットで全部吹く。#40
日本全国のジャムセッションで共通の曲集として使われているジャズスタンダードバイブル。通称黒本。
そのジャズスタンダードバイブルを最初から最後までトランペットもしくはフリューゲルホルンで演奏してみようという企画です。
一応ルールとしては
テーマを1コーラス、そしてアドリブを1コーラスずつ演奏。
ただし伴奏に使うアプリ、iReal proで再現困難な曲は除外。
撮影機材は
さあ40回目となりました今回。1回の更新で5曲ですから今回で200曲までは達成です。
今回はこの200曲の節目にふさわしく(?)恐らくジャズスタンダードバイブル中最も難易度が高いのではないかという曲の登場です。
しかも個人的なことですがこの動画を撮っていた時期は奏法をいじっている途中で、頭の中は余計にゴチャゴチャ状態(笑)
もはやいろんな意味で涙なしには聴くことのできない演奏です。
というわけで心してご覧ください。更新40回目!
※難易度分けは初級- 初級+ 中級- 中級+ 上級- 上級+の順。文中に出てくるキーや音名などは全てinBb表記。
Take The "A" Train
初級+
言わずもがなの名曲、”A列車で行こう”。
あまりにも有名すぎてもはや何とも思わないメロディですが、数々のスタンダード曲と比べてみると突出したユニークさを持ち合わせています。
シンプルでなおかつ簡単に口ずさめるメロディでありながらも各Aセクションの3,4小節目の#11thにはドキッとさせられますし、音のインターバルを上手く用いたメロディのつくりも本当によく考えたなあと唸らされてしまいます。
トランペット吹きとしては音が上下に飛ぶのがちょっと嫌な方が多いかと思いますが、音を大きくする勢いや力みで押し切ることなく丁寧な演奏ができるといいと思います。
Tell Me A Bedtime Story
上級+
恐らくジャズスタンダードバイブル1の中で最も難易度の高いであろう曲です。
ただし知名度は比較的高い方なので腕に覚えのある方からのコールがごくまれにあります。
「おとぎ話を聞かせてよ」というタイトルの通り夢の中に入り込んだような美しい曲ですが、コードチェンジが複雑な上に途中で出現する5拍子に悶絶させられます。
おとぎ話が5拍子みたいに変則的な展開になっちゃったら子供は眠れなくなっちゃうよなあ……
とはいえこの曲はジャズスタンダードバイブルの注釈文にもあるとおり、必ずしもテーマのコードチェンジをそのままアドリブする必要はありません。
いろいろな音源を探してみても多くのものがよりシンプルなチェンジを利用していたり5拍子のセクションを避けていたりします。
僕はムキになってテーマどおりやっちゃいましたが、真似すると皆さんも僕のように痛い目に遭うこと間違い無しです(笑)
時間があればもっと掘り進めていきたい曲です。
Tenor Madness
初級-
Tell Me A Bedtime Storyから打って変わって安心する曲の登場(笑)
ご存知ソニーロリンズによるブルース曲で当然知名度も高く、テーマの演奏も比較的楽な初心者にもおすすめの曲です。
この曲といえばやはりロリンズとコルトレーンの共演する作品"Tenor Madness"が最も有名かと思いますが、この作品で交錯した二人のテナープレイヤーがその後どのような人生を歩んでいったかを見るだけでもジャズの歴史の面白さに触れられるかと思います。
演奏に直接役立つこと、例えばフレージングや理論などを学ぶことも重要ですが、少しわき道に逸れてこういったことにも着目してみると興味や演奏の幅が広がります。
There Is No Greater Love
初級-
こちらの曲もコール頻度や難易度からいって初心者にとって非常に取っ付きやすい曲です。
初心者向けの曲らしく、AABA構成でざっくり言えばCメジャーとその平行調であるAマイナーというハーモニーが主となっています。
しかし特に各Aセクションを変わった組み合わせのコードチェンジに面白く調理することができると大変面白い曲で、この曲演奏していて飽きたな~と思い始めた方はぜひいろいろとトライしてみることをおすすめします。
普通によくある曲なようでいて意外と多くの顔を持つ、奥の深い曲だと僕は思います。
There Will Never Be Another You
初級-
ジャムセッションでは「アナザーユー」などと省略して呼ばれ、初心者の方にもよくコールされる曲ですが、僕のジャズのレッスンでもかなり始めの方に取り組む曲です。
初心者向けの曲といえばテーマでそこまで高い音が必要ではなく、様々なII-V-Iに触れることができなおかつ途中で転調していなくてジャムセッションでのコール率も高いというのが僕の中でのイメージです。
この曲は数あるジャズスタンダードの中でもそんな条件を満たしてくれる貴重な曲。
その上アドリブの教科書にでもしたいくらいの名盤も存在しますからトランペットを教える身としては至れり尽くせりな曲です。
この曲をジャムセッションで実際に演奏する場合は後テーマのラストを半音上げで演奏するお決まりのエンディングが存在するのでチェックしておきましょう。
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ジャズスタンダードバイブル トランペットで全部吹く。#39
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