Blog ブログ
本音で語るプラスチック製トランペット
プラスチック製のトランペットってありますよね。
安くていろんなカラーがあり、可愛くておもちゃっぽい見た目とは違って案外本格的な音が出る。
一般的に言われているのはこんなものでしょうか。
僕も上の画像にあるようにプラスチック製のピッコロトランペットを持っていますが、今回はそんなプラスチックでできたトランペットを実際に吹いてみて率直に思ったことを書いてみたいと思います。
※もちろんですがピッコロトランペットだけでなく、プラスチック製Bbトランペットも吹いての感想です。念のため。
プラスチック製トランペットの特徴
軽い・カラフル・安いが主な特徴でしょう。
他にもオイルを差さなくてもいいのでメンテナンスが楽というものも目にしましたが、実際使ってみた感想としてはオイルを差しても差さなくても動きが渋いのであんまり変わらんというのが正直なところです。
軽さに関してはトランペットを背負って登山でもするのならまだしも、せいぜい500グラムかそこらの違いですからそこまで大きなメリットにはならないでしょう。
カラフルで見た目が可愛いというのはプラスチック製トランペットの最大のメリットだと思います。
その上安い(大体2万円前後)ので何かちょっとしたイベント用にトランペットセクションで買い揃えて演奏でもしたら面白いかもしれません。
どんな音が出るのか
楽器として最も重要な音色についても書いておかなければなりません。
「本格的な音が出る」と宣伝されがちなプラスチック製トランペットですが、一般的なトランペットに比べるとやはり違いがあります。
一言で言い表すならば艶の少ないもっさりとした音です。
一般的なトランペットと違い、楽器自体が共鳴しづらいために音の高い周波数がカットされているような印象です。
どんなジャンルの音楽に合うのか考えてみようとしましたがどうしても思いつきません(笑)
柔らかな音というのとは少し違って、とにかく響きの少ないもさもさとした音色です。
微妙な点
音程
まあプラスチック製ですからパーツの精度も低く、音程が悪いのは致し方ないかもしれません。
Bbトランペットならまだしも、ピッコロトランペットに至ってはどう頑張っても修正できません。
またスライドの動きが渋いため吹く音に応じて3番スライドを動かすのも困難ですし、そもそもそこを動かすような作りになっていないものも存在します。
バルブアクション
当然ピストンの動きも非常に渋いです。
バルブセクションには金属を使用しており動きがスムーズとされているものであってもかなりのストレスを感じます。
厳密に言うと吹いていない状態の動きは決して悪くはないのですが、実際に息を吹き込んで演奏しながらピストンを動かすと非常に高い確率で引っかかるようになります。
また途中で引っかかることを想定してか元から強めのスプリングが入っており、素早いパッセージの演奏はちょっと大変です。
ツボが非常に曖昧(致命的)
トランペットには本来「音のツボ(鳴りのツボと呼ぶことも)」というものがあり、そのツボを狙って吹くことによってトランペット本来の響きを生むことができます。
音のツボに当てて吹いた時と実際の音程がぴったりと一致するものがいわゆる「音程のいいトランペット」と呼ばれ、ツボと音程が微妙にずれているものは音程が悪いと呼ばれたりします。
またツボに当てやすいトランペットは「ツボが広い」、逆に当てづらいトランペットは「ツボが狭い」ということもあり、同じトランペットでもそれぞれのツボの広さが音域によって異なったりします。
プラスチック製トランペットに関してはそのツボの範囲が非常に曖昧で、音域によっては「あれ?ツボなくね?」というくらいツボが狭いところがあります。
よくプロがプラスチック製トランペットを試奏する動画がありますが、彼らは狭いツボであってもそれを自力で狙う技術があるために上手に演奏ができるのです。
どんな人が買うべきか(orどんな人は買ってはいけないか)
ちょっと酷評気味になってしまいましたが最後にまとめておきましょう。
こんな人は買ってはいけない
これからトランペットを始めようと思っている初心者の方は絶対にやめておきましょう。
ピストンの動きが悪い上に音のツボがはっきりせず、初心者の方がこのトランペットを用いて上達していくのは困難です。
決してメンテナンスフリーというわけでもありませんし、値段だって同価格帯で真鍮製のトランペットを買うことが可能です。
※とはいえそういったトランペットなら何ら問題ないというわけではなく、同じ値段で比較するならばまだマシという意味です。
参考:
Amazonで格安トランペットを買うのってどうなの?
禁断のテーマ:ネットで探す中古トランペットの選び方。
こんな人は買ってもいいかも
何かの余興で1回だけ吹ければ良いと割り切れる人
今後トランペットを上達したいわけでなく、ただ1度だけちょっとした余興で演奏できればいいという場合は見た目が可愛いプラスチック製トランペットはいいかもしれません。
普通のトランペットを持っていてある程度吹ける人が遊びで使う場合
普段はメインのトランペットで練習し、何かの余興で演奏するためだけに使用するのは大いにありだと思います。
というわけでプラスチック製トランペットに関する感想でした。
一番最後にもう少しだけフォローしておくと、ピッコロトランペットだけはもしかしたら買ってもいいかもしれません。
ピッコロトランペットは元の値段が高く、実際の演奏で使うかどうかはわからないけどちょっと練習してみたいという場合には安価なプラスチック製ピッコロトランペットのメリットはあるかなと思います。
それでも音程やバルブアクションは人前での演奏に耐えられるものではありませんが。
あれー?コルネットシャンクだけどサウンドハウスで一応イエローブラス製のピッコロトランペットが激安・・・・