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トランペットのロングトーン。実践編!
さてここからが実践編です。
ロングトーン1つに大げさな気もしますが、それだけ大事な練習なので丁寧に読んでみてください。
この練習メニューの1.Long Tonesです。
わざわざ一枚全部載せることはないのですが、加工が面倒なので(笑)
楽譜をご覧頂いて分かるとおりテンポは60で、ソ~ドまでの音を16拍ずつ、そして間にそれぞれ8拍ずつ休符を挟みながらのロングトーンです。
練習で意識すべきポイントは人によって異なるということ
一般的にロングトーンは出だしをはっきりと明確に、終わりは自然にスッと切る。
音はよく響かせ、ブレずに真っ直ぐに正確な音程で吹く、などと解説されます。
どれも正確なロングトーンを行うために大事な要素ですが、例えば初心者に対して常にこれら全てを意識して練習しましょうというのは難しいでしょう。
ですからそういった場合はその人の演奏レベルや課題に応じて意識するべきポイントを絞ってあげる必要があります。
僕が行っているレッスンでは生徒さんの演奏を聴いてそれを判断していますが、今回は大体こんな感じということでご紹介します。
ロングトーンで意識することの優先順位リスト
そもそもロングトーンをマスターしている方はうちの記事など読む必要はありませんから、ここでは思いっきり初心者に寄せたところからスタートしましょう。
実際のレッスンではその人によって大幅に順序を入れ替えることもあります。
ですからこの順位づけが絶対ということはありません。
一応1からスタートしてだんだん全部意識して、というか最終的には無意識にできているのが理想です。
1.たっぷりと息を吸えているか
トランペットを吹くためには息を吸わなければなりません。
※トランペットの演奏とブレス参照
難しいことは置いておいて、深呼吸をするようにリラックスし、たっぷり吸うことです。
うまくいかない場合は一旦トランペットを置いて(重要!)何も考えずに深呼吸してみましょう。
また、たっぷり吸ったからといってたくさん吐かなくてはならないということではありません。
音量もメゾピアノくらい。感覚的にはちょっと小さめというくらいです。
あくまでも深呼吸と同じようにたっぷり吸ってリラックスして吐き、ロングトーンをしてみましょう。
これを確認するためにはメトロノームを使わないでロングトーンするのも有効です。
2.吹こうとしている音程が出ているか
これはチューナーを用いて正確な音程を狙おうという厳格な意味ではありません。
例えばドの音を吹きたいのであれば大体ドの音に聞こえるかどうかという大まかな意味です。
もし出ていないと感じる、もしくはトランペットで吹いている音が何の音だかよくわからないという場合はピアノなどを使って基準となる音を鳴らして確認してみましょう。
もちろんスマホアプリでも可です。
うまくいかない場合はピアノで鳴らしている音を声で正確に歌ってから吹いてみましょう。
ちなみにちょっとややこしいのですが、トランペットのドを鳴らしたい場合はピアノのシ♭の鍵盤を押します。
3.音の出だし
「トゥアー」とか「ゥアー」という感じではなく、「ター」とはっきり発音しましょう。
これもうまくいかないときは実際に声で「ター」と歌ってしまうのが意外と効果的です。
ここでは深く述べませんが、歌声とトランペットは非常に密接な関係にあります。
また同時にブレスがおろそかになっていないか再確認しましょう。
スムーズな出だしのためだけではありませんが、吹く前にカウントすることも重要です。
メトロノームを使わない場合も頭の中でカウントしましょう。
特に初心者の場合はブレスをしてトランペットを構えマウスピースを口に当ててエアを流し込み音を発するまでの一連の流れがぎくしゃくしがちです。
この一連の動作が馴染むまではカウントを「1…2…1234」と8拍分取ってみましょう。
ロングトーンはトランペットで音を出している間だけでなく、カウントしだした瞬間から始まっています。
4.音を伸ばしている間
一般的にはなるべく真っ直ぐにと言われますが、これも大体で結構です。
ただしあまりにも激しくブレてしまう場合は何かがうまくいっていない可能性があります。
多くの場合は体が力んでいたり、ブレスが足りない、もしくは頭の中で吹きたい音をクリアにイメージできていないことが多いです。
5.必要な長さ伸ばせているか
楽譜通りやろうとすると16拍のロングトーンになります。
しっかりと肺を膨らませることができているか確認するためには最低でもこのくらいは必要です。
これができない場合は無理せず半分くらいでも結構ですが、少し慣れてしまえば小学3年生でも余裕で吹くことができます。
ちなみに16拍伸ばすということは17拍目の鳴る直前まで吹くということです。
長く伸ばせれば偉いということでは決してありません。
身体をガチガチにさせながら16拍吹くくらいなら8拍をリラックスした状態で吹けるようにするべきです。
6.音の切り
ブツッと切るのではなく、すーっと自然に音が消えるようなイメージです。
ちょっと言葉では伝えづらいのですが、これも大体で良いでしょう。
7-1.トランペットの音がよく共鳴しているか感じる
先に書いたとおり、音を真っ直ぐ吹けているかとか音程が正確かということはあまり意識する必要はありません。
そのかわりに自分の音が部屋や身体に共鳴しているのを感じましょう。
この「共鳴する感じ」はどこまでできればOKという目に見える基準は存在しません。
ロングトーンをしながら身体や気持ちがなんとなく気持ち良いなと感じることができれば良いでしょう。
7-2.時が流れていくのを感じる
実はロングトーンは良い音できっちりと音を伸ばしていればそれで良いというわけではありません。
音が共鳴するのを感じながらメトロノームの刻む時間が川の流れのように流れていくのを感じましょう。
音楽と時間の流れは切っても切り離せないものです。
はじめのうちはよく分からないかもしれませんが、たまにメトロノームだけを鳴らしてその流れを感じるようにしても良いでしょう。
ブルースリーの”Don’t think! Feel.”に近い世界かもしれません(笑)。
あなたがトランペットで発するすべてのものは音楽であり、ロングトーンや基礎練習ですらもまた音楽なのであるということを頭の片隅に置いておきましょう。
これはあなたが音符の羅列ではなく、聴衆の心を動かす生きた音楽を演奏するためにとても重要なことです。
というわけで最後の方はちょっと抽象的な話になりましたが、ロングトーンという練習を掘り下げてみるとこんなにも奥の深いものになります。
もしロングトーンを普段なんとなくやっていたりするのであればこれを機に見直してみてはいかがでしょうか。
←前回
トランペットでのロングトーンのやり方を深掘りしてみる。