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ワンポイントレッスン

唇のコンディションをうまく保つためには

トランペットを吹くカエル

タイトルに「唇の」という書き方をしましたが、トランペットを吹いていて調子が悪いときにその原因を唇そのものに求めている方があまりにも多いので敢えてこのような書き方をしています。

しかし前回書いたとおり実はさほど唇そのものに思考をフォーカスする必要はありません。

むしろ唇にのみフォーカスし、他の要素を無視してしまうことはドツボにはまる原因となるので注意が必要です。

おさらいになりますが、トランペットの音は唇のみによって生み出されるものではありません。
トランペットの音を唇だけを使って生み出そうとすることは唇に無駄な仕事をさせる原因となるということをよく意識しておきましょう。

ですから今回の記事のタイトルは正確には「唇に無駄な仕事をさせないための身体のコンディションをうまく保つには」といったところです。

ただ文字にするとあまりに長ったらしいので以降も不正確であることを承知で「唇のコンディションを保つ」という書き方をします。

 

ウォームアップ

そのためにやはり欠かせないのがウォームアップです。
ここでも注意が必要なのですが、一般的には唇のウォームアップと思われていますがそうではありません。

唇を含めて体全体、特に唇へ息を送り込むための肺の機能だったり唇で生まれた振動を共鳴させるための口腔のセットアップなども含めての「ウォームアップ」です。

ですから唇をウォームアップすれば良いのではなく、その日トランペットを吹くための身体を立ち上げるという意味でのウォームアップという考え方が必要です。

基本的にはどんな練習メニューでも構いませんが、ブレスをたっぷりととり初めは小さめの音で、しかし豊かな響きを意識する。
そして楽な音域からスタートし徐々に音域を広げていくという原則に従うことが重要です。


吹奏楽部などでは仕方のないことかもしれませんが「◯◯分までに終わらせよう」などと時間を区切り、しかも短時間で片付けようとするのは本来あまり良くありません。

そういう基礎練習のための教則本もありますが、普段は時間をとってゆっくりとウォームアップし、時間がないときだけそれを用いるというやり方ならありかもしれません。
確かに短時間で幅広い練習が可能なメニューになっているのですが、その分端折っている部分も多く、普段からその本のみで基礎練習をするというのは個人的にはお勧めしません。

ダラダラと練習を続けてしまうのは確かに良くありません。しかし時間による制約をかけてしまうと多少無理をしてでもそのメニューをこなそうとする傾向が生まれがちです。
僕自身朝イチのレッスンなどでウォームアップに時間が取れないことが多いのですが、そんな時は練習メニューを急いで進めるのではなく限られた時間の範囲内でできるところまでやるようにしています。
そして数日以内に必ずたっぷりと時間をとって入念にウォームアップし、コンディションを戻すことを心がけています。


練習メニューは完全に固定しなければいけないわけではなく、その日のコンディションによって多少変えたりもします。
ただしどう変えたら良いのか判断できない人は普段は固定のままで、レッスンでアドバイスを得ながら続けていくのがベストでしょう。

僕個人の場合はウォームアップとしてロングトーンとロングトーンスタディ、ベンディングを数パターン行なっています。

レッスンではトランペットを始めたばかりの初心者向けとしてはこんな練習メニューをお渡ししています。

練習メニュー

ただしこれ全部をやるケースは少なく、その人のレベルやコンディションに合わせて内容をスキップしStep2にも取り組むようにしています。

ご覧ただいてわかるように、練習メニュー自体はごくありふれたものです。
練習として何を吹くかということよりも何を意識してどう吹くかということが重要ですから、ウォームアップの原則をよく意識して練習に取り組むようにしましょう。

 

●大きくブレスし


●小さな音で(mpもしくはp)


●楽な音域から始める


●豊かな響きを意識する


●急がずたっぷりと時間をとる


 

休憩について


前回休憩をとることが重要と書きましたが、実際にどのくらい休憩すれば良いのか書いていませんでした。
これにはまず大原則があります。

それは必ずバテる前に休憩をとることです。

もし唇が振動しづらい状態=バテてしまったらその日の練習は終わらせるべきでしょう。
トランペットの生徒がバテてしまっても「頑張れ!」の一言で演奏を続けさせる吹奏楽部の先生、ご覧になってますかー?



ですから原則は「バテる前に休め!」
トランペットを吹いていて唇にわずかでも違和感を感じ出したら直ちに休憩をとりましょう。

休憩は何分必要かと言われると困りますが、そのとき感じている違和感の程度にもよるのでなんとも言えません。
唇に感じていた違和感が無くなるまで休憩するようにしましょう。
僕の場合は本を読んだり原稿を書くということが多いです。
気晴らしに外へ出て歩いてみたりするのもとても効果的です。

唇をばてさせてしまう原因は唇そのものにあるというより、唇に負担を掛けてしまう体の使い方をしていることにあります。
その体のコントロールを取り戻すもしくはリセットするためには単に唇を休ませるだけでなく、体全体、そして脳のリフレッシュが非常に重要です。

 

歌うことの重要性


そもそも唇に無駄な仕事をさせないということは休憩を多めにとりましょうねということではありません。もちろん休憩も大事ですが。

唇に無駄な仕事をさせないということはその分どこかがしっかりと機能しなくてはなりません。
逆に言えばそこが機能しないからこそ神経が集中して意識しやすい唇がそれらのサポートのために過重労働(?)となってしまうのです。

それを手っ取り早く体感するには歌を歌うことがとても有効です。
ただ歌うのではなく「オペラ歌手にでもなったつもりで、大きくよく響く声で」歌ってみましょう。
その時に重要なのは以下の4つです。

 

●これから歌うことをよくイメージする


●体のリラックス


●大きなブレス


●適切な口腔内の形


 

詳しく書くと長くなってしまいますが、この4つを逆にしてさっきと同じような声量を目指して歌ってみましょう。
すなわちこれから何を歌うかをイメージせず、体に思いっきり力を入れ、あまりブレスせず、口腔内のスペースを狭めるということです。

これを「さっきと同じような声量」を目指して歌いましょう。

声帯に異常に負荷が掛かって痛くなりませんか?(笑)
出ている声も歌声というよりは「がなり声」のように聞こえるはずです。

 

歌う時に振動するのは声帯ですが、トランペットを吹くときにこれを行うとどこが痛むでしょうか?

これで唇に無駄な仕事をさせないということの意味、そしてそのために本来機能しなければならないのは何なのかということをご理解いただけたかと思います。

このことを常日頃から心がけて練習に取り組むことによって、唇に無駄な仕事をさせないための身体のコンディションを保つことができるのです。

 

 

前回

トランペットを吹いていて唇の調子が悪い?

続き

実際に唇の調子が悪くなってしまったら

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