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初心者向けジャズスタンダード曲レパートリー水増し術
先日Jazz Standard Bibleトランペットで全部吹くを#10(=50曲)までアップし終えたところですし、ここらで一旦初心者向けの曲をリストアップしておこうかなと思います。
当たり前のことですが、初心者がジャズスタンダードを練習するなら覚えるべき曲数はなるべく少ない方がラクですよね?
演奏に少し慣れてきてレパートリーを増やしたいという人だって全然違う曲を3つ練習するよりは今までやった曲と似たような曲だったら練習はラクですよね?
というわけでそんなズボラな初心者の目線に立ったスタンダード曲リストを作ってみたいと思います。
内容としてはhttps://aoi-jazz.com/archives/263と近いものになりますが、今回のはよりズボラ版です(笑)
※曲のタイトルの後についているページ番号はJazz Standard Bible Vol.1の該当ページ。
※今回の記事中、カッコ内に書いてあるキーはトランペットやテナーサックスなどBb管のキー
まずはじめの2曲
ジャムセッションへ行ったことがなく、レパートリーが1つもないという人はまずこちらから。
Fブルース (Gメジャー)
Bag’s Groove (p.21)やNow’s The Time (p.157)などがシンプルなテーマなのでおすすめです。
Bb循環 (Cメジャー)
リズムチェンジとも呼ばれます。
こちらも同様の理由からI Got Rhythm (vol.2 p.100)やRhythm-A-Ning (p.178)から練習するのがおすすめ。
とりあえずはこの2つの曲ができればどうにかジャムセッションへ参加することが可能になるでしょう。
どちらも細かいコードチェンジは気にせず、その曲の雰囲気を聴きながらなんとなくの演奏でも結構です(これに関してもそのうち詳しく書きます)。
上記にプラス3曲してはじめの5曲
Autumn Leaves (p.20)=Gマイナー (Aマイナー)
I’ll Close My Eyes (p.98)=Fメジャー (Gメジャー)
There Will Never Be Another You (p.224)=Ebメジャー (Fメジャー)
ここまでの5曲をとりあえず演奏することができればジャムセッションで困るということは少なくなってくるかと思います。
5曲全部できなくとも、3曲でも4曲でも構いません。
お店が混雑しているときに当たってしまえばせいぜい3曲しか演奏できないということだってありますから。
ちなみに「演奏することができれば」などと書きましたが1曲ごとのクオリティは全く問いません。
ここまではテーマを演奏することができて、ぎりぎりロスト(演奏している場所が分からなくなること)せずになんとなくアドリブができればそれでOKです。
There Will Never Be Another Youだけは定番のエンディングを練習しておくといいでしょう。
上段はピアノやギターなどのC譜、下段がBbトランペット用のBb譜となっています。
後テーマの29小節目がこの楽譜の1小節目となっており、コーラスが少し延長されています。
いずれにせよ、まずはジャムセッションへ顔を出し、自身が演奏するだけでなく他の人たちの演奏を聴き、その場の雰囲気を感じ取るということが上達のためには大切なことです。
レパートリーを
ここまででとりあえず5曲演奏できるようになりました。
くどいようですがここでは演奏の質は問いません。
この5曲からレパートリーを可能な限りラクに増やしていくためにはどうするべきかですが、この二つの方法で増やしてみましょう。
1.似たようなコードチェンジの曲を練習する。
ジャズスタンダード曲ではコードチェンジが似ているという曲も多いものです。
特にブルースと循環はほぼ同じコードチェンジでかなりのバリエーションが存在します。
それ以外にも下手をするとキーが違うだけでほぼ同じコードチェンジの曲すら存在します。
具体的に言えばThere Will Never Be Another YouとI’ll Close My Eyesはキーが違うだけでほとんどの部分が同じコードチェンジです。
だからこそはじめの5曲として挙げたのですが、ここまで似てはいなくともそこそこ似ているものを少し挙げてみるとこんな感じです。
Scrapple From The Apple (p.184)
Bb循環をFメジャー (Gメジャー)に置き換えたようなコードチェンジ。
ただしテーマは複雑なので要練習。
St. Thomas (p.207)
1コーラスの長さは異なりますが、Bb循環のように同じコードを循環しています。キーはCメジャー (Dメジャー)。
Beautiful Love (p.23)
GマイナーのAutumn Leavesと曲の構造は異なるが概ねDマイナー (Eマイナー)にしたようなコードチェンジ。
Softly, As In A Morning Sunrise (p.192)
ちょっと無理矢理ですがAutumn Leavesと同じく、同一マイナーコードを繰り返すコードチェンジです。
サビはEbメジャー (Fメジャー)、それ以外はCマイナー (Dマイナー)・・・と聞くと難しいような印象を受けるかもしれませんが、どちらも全く同じ音を使ったスケールです。
他にもあるかもしれませんが、シンプルなコードチェンジでなおかつジャムセッションでよく演奏される曲に限ればこんなものでしょうか。
それでもそもそもキーが違う曲を練習するのは大変!という方は次を読んでみてください。
2.キーが同じ曲を練習する。
アドリブについて少し勉強し始めれば曲によってそれぞれキーというものが存在するということがわかってくるはずです。
上にも書きましたがはじめの5曲のキーはこんな感じです。
Fブルース=Fメジャー(Gメジャー)
Bb循環=Bbメジャー(Cメジャー)
Autumn Leaves=Gマイナー (Aマイナー)
There Will Never Be Another You=Ebメジャー (Fメジャー)
I’ll Close My Eyes=Fメジャー (Gメジャー)
単にキーが同じであれば他の曲も同じように演奏出来るというわけではありません。
しかしコードチェンジがシンプルでキーが同じであれば全く別のキーの曲を練習するよりはるかに効率よく練習することができます。
ここではBb循環とThere Will Never Be Another YouそしてI’ll Close My Eyesで考えてみましょう。
これらの曲と同じキーで比較的シンプルなコードチェンジ、その上ジャムセッション演奏されることの多い曲だと以下のようになります。
Bb循環=Bbメジャー (Cメジャー)
Candy (p.37)
Doxy (p.58)
Mack The Knife/Moritat (p.136)
Perdido (p.172)
There Is No Greater Love (p.223)
There Will Never Be Another You=Ebメジャー (Fメジャー)
But Not For Me (p.34)
I Could Write A Book (p.86)
It Could Happen to You (p.112)
My Little Suede Shoes (p.146)
On Green Dolphin Street (p.162)
I’ll Close My Eyes=Fメジャー (Gメジャー)
Bye Bye Blackbird (p.35)
The Days Of Wine And Roses (p.54)
If I Were A Bell (p.102)
Just Friends (p.120)
L-O-V-E (p.129)
Love Is Here To Stay (p.131)
ここまで挙げた曲を(演奏の質は問わず)演奏することができるようになってしまえばもうジャムセッションで演奏できるレパートリーが無くて困るということはかなり少なくなるはずです。
もちろん自分の好きな曲から練習するのだって良い、というか基本的にはそうすべきです。
しかしとにかくレパートリーをあまり苦労せずに増やしたいというズボラな初心者の方は今回挙げた曲から練習してみると良いでしょう。