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トランペットの奏法をアンブシュアから見直すことの愚かさ#2
※まだ#1をお読みでない方はこちらからお読みください。
アンブシュア以外のものについて目を向ける前に
そもそもトランペットはアンブシュアだけで吹くものではありません。
トランペットには空気を吹きこまなければなりませんし、そのためにはそもそも空気を吸わなければなりません。
またリップスラーなどのように音を跳躍させたり、今よりも良い響きを得ようとする場合には舌や喉など口腔内の形も適切に変化させていく必要があります。
それはそれで重要な話なので後で書きますが、ただその前に絶対に忘れてはいけない大事な話があるので独立した記事として書いておきます。
”奏法オタク”にはなるな
上に書いたことよりさらにそもそもな話になるのですが……。
トランペットを演奏する際に細かな体の使い方や動きは確かに無視することのできない事柄です。
しかしこれらにいちいち気を取られていては演奏に集中し、音楽そのものに没頭してその音楽の持つ世界や彩りを表現するということがおろそかになってしまいます。
たまにトランペットの奏法に非常に詳しく、マニアックなことをいろいろと試し続けている人を見かけますが、そんな人に(芸術としての)音楽の話をするとぽかんとされてしまったり、非常にあいまいな答えしか返ってこなくなってしまうことがあります。
トランペットはあくまで音楽という芸術の一種を表現するための道具にすぎず、その道具を自在に扱うことのみに全身全霊を注ぐというのは本末転倒でしかありません(個人的にはプロアマ問わず、この点をナチュラルにすっ飛ばしている人が奏法オタクに陥りやすい気がしますが)。
お金のために演奏をすると割り切ったいわゆる”プロ”ならそれでもいいかもしれませんが、芸術を表現する者という意味での”アーティスト”や、ましてやアマチュアの方はそんなくだらないことを真似るべきではありません。
ですからトランペットという、「単なる道具」の操作方法を追及し続けた挙句、知らず知らずのうちに本来の目標を見失ってしまわないようにしましょう。
まあ誰でも一度は必ず陥るはずですが。
トランペットの奏法の細かいことについて考えることを否定するわけでは全くありません。
むしろ重要なことです。
ただ、アンブシュアを含め奏法についてよく考えるときほど、同時にトランペットをただただお上手に吹くということよりずっと素晴らしく深い世界がすぐそばにあるということを絶対に頭の片隅に置いておくべきだということです。
というわけで冒頭に書いたようなエアや舌、喉、口腔内の形などに関しては個別に考えるのではなくまとめてコントロールしシンプルに考えていく必要があります。
なぜなら演奏しながら音楽そのものに没頭するためです。
ちなみに、これらのことはうまくできていなくてもその部位にはあまり自覚症状が表れません。
だからこそ最も敏感で弱い部分である唇に負担が集中したり違和感を感じやすく、その結果としてアンブシュアがおかしいとばかり感じることになるのです。
忘れがちな点は二つ
最も重要な点は既に書いたので、ここから先は些細なことです。
トランペットのアンブシュアについて悩んでいる方が特に忘れてしまいがちな重要な点は二つです。
目的地設定とそこへ行くまでのガソリン(エンジン含む)です。