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子供向けのトランペットとは
今まで初心者向けトランペットというテーマで記事を書いたことはありましたが、子供向けのトランペットというものに関してはあまり着目してきませんでした。
参考:https://aoi-jazz.com/archives/125
せっかく小学生向けのレッスンプラン、ジュニアプランも開設したことですし、ここはひとつ子供向けトランペットについて書いてみることとします。
そもそも何歳からトランペットを吹くことができるか
体の大きさにもよりますが、大体小学校3年生くらいからであれば演奏することができると思います。
またこれから書くことを参考にすれば小学校1年生くらいの体の小さなお子さんでも無理なく演奏することができるでしょう。
それより低年齢の場合だとトランペットを構える以前に落としたり投げてしまったりなど、トランペットの扱いに問題が生じる可能性があります。
そもそもひとことで子供と言ってもその年齢によって多少アドバイスが変わってきます。
ここでは二つに分けて考えてみることにしましょう。
小学校低学年くらいまで
上にも書いたようにこのくらいの年齢までだとそもそもトランペットを構えること自体が困難なケースがあります。
そもそもトランペットをしっかり構えることができなければ奏法以前の問題です。
トランペットの大きさ、重さは
そもそも一般的なトランペット(Bb管)の大きさは大体長さ50センチくらいで、マウスピースを含めるとプラス6,7センチ程度。
実際に右手の小指をかける指掛けから口までの距離は30センチくらいでしょう。
重さは一般的なもので大体1000~1200グラム程度でしょうか。
この大きさと重さのトランペットを斜め下くらいで構えることができなければトランペットを吹くことはちょっと難しいかもしれません。
ですから極端な話、3歳児にトランペットをやらせようとしても腕の長さや筋力の問題でどうしても無理が生じてしまいます。
体の小さい場合
まだ体が小さい場合、トランペットを構えられないためどうしても通常のトランペットを演奏することは困難となってしまいます。
そんな場合はこのような選択肢があります。
1.ポケットトランペット
通常のトランペットと同じ管の長さを維持しつつぐるぐる巻いたものです。
吹奏学部や鼓笛隊などで本格的な演奏で用いるにはちょっと不適当な楽器ですが、比較的安価で手に入るものが多く、通常のトランペットと全く同じ奏法で吹くことができます。
写真の通り通常のトランペットと比較してかなり短くできており、体が小さくても構えやすい楽器です。
なぜ本格的な演奏で使うのには不適当かというと、もともとお遊びとして演奏されることが多い楽器で安価なものが多く、ピストンや抜差管の精度があまり良くないものが多いのとベルが小さいために大きな音を響かせるのに向いていないためです。
それでも体の小さなお子さんがトランペットの奏法を学ぶためには十分活用できる楽器です。
大手のメーカーからはあまり販売されておらず中国製のものが主となりますが、その中でもジュピターやマルカートなどは比較的マシとされています。
当トランペット教室でもジュピターのポケットトランペットをレンタル用としてご用意しています。
2.コルネット
トランペットとは似て非なる楽器ですが、トランペットより全長が短いために体の小さなお子さんでも持ちやすい楽器です。
よく小学生の金管バンドなどでトランペットの代わりとして用いられており、見た目は短いトランペットというような感じです。
トランペットはストレートで抜けるような音色が特徴なのに対し、コルネットは柔らかくてまろやかな響きが特徴。
奏法が大きく異なるということはありませんが、コルネットとトランペットでは同じマウスピースを使うことができないので要注意です。
コルネットは大手ブランドより様々なモデルが発売されており、ポケットトランペットのようなお遊び用楽器とは一線を画しています。
プラスチック製トランペットは?
ポケットトランペットやコルネットは当然金属製ですから長さが短くても重さはほぼ変わりません。
そこで軽いプラスチック製トランペットという選択肢も頭をよぎるかもしれませんが、個人的にはおすすめしません。
参考:本音で語るプラスチック製トランペット
確かに作りがあまり良くないのはポケットトランペットも一緒。
しかし酷さのレベルが段違いなのです(笑)
中学生、高校生などで初心者の場合
以前書いた初心者向けトランペットの記事とかぶる面もありますが、ついでに書いてしまいましょう。
ある程度経験のある場合は楽器屋さんでじっくりと試奏して好きなトランペットを買っていただければいいと思います。
しかし初心者の場合はやはりヤマハかバックの入門機種が無難でしょう。
もちろん予算に余裕のある方ならばいきなり中級クラスやフラッグシップモデルを買ったって結構です。
いずれにせよ特にこの2大ブランドであればいい加減に選んだとしてもまずハズレを引くことはないでしょう。
入門機種の特徴
入門機種には価格が安い以外にも初心者や子供に対して配慮されたつくりになっていることが多いのですが、それを簡単にご説明します。
1.軽めの吹奏感
多くの初心者向けのトランペットは軽めの吹奏感を持っていることが多いものです。
軽い吹奏感は息や体の使い方がまだ効率的でない初心者にとっては吹きやすいと感じることが多く、初心者向けのトランペットの多くはそうなるように設計されています。
具体的には管の厚みが薄めであるとか、支柱が少ないといった特徴が挙げられます。
とはいえ単に軽ければ誰でも吹きやすいというわけでもないのでご注意を。
2.三番トリガーをネジで調整できる
左手の薬指を入れる三番トリガーですが、多くのモデルではここが固定式になっています。
一方初心者向けのトランペットでは手の小さな子供でも楽に操作できるようにこの部分がネジで調整可能なつくりとなっています。
これは手の小さなお子さんにとっては便利な反面、ものによっては演奏中にネジが緩んでくることがあり、いちいち締めなおすのが少し煩わしいことがあります。
トランペットは吹く音によっては三番スライドを伸ばして音程を調整する必要があるため、ここは案外重要な部分です。
入門機種に対しての不安
入門機種は価格が安いだけにいろんな不安が付きまとうかもしれません。
しかし品質の悪い中華ブランドのものはさておき、ヤマハやバックなどの老舗ブランドの入門機種に関しては以下のようなことが言えます。
壊れやすいの?
入門機種だからといって壊れやすいということはないと思います。
無茶な使い方をしたらどんなに良い楽器でも壊れますし、通常のメンテナンスを怠らずに丁寧に扱えば安いトランペットだって長持ちします。
音程が悪くないか
多少の個体差はありますが、ヤマハやバックなどのしっかりしたブランドであればほぼ大丈夫かと思います。
買う前に楽器屋さんで試奏するか、自分で吹けない場合は店員さんにお願いしてみましょう。
音色は?
安いからといってペラペラな音色ということはありませんが、やはり上位機種に比べると響きや鳴りの点で若干劣ります。
先にも書いたとおり軽めの吹奏感のものが多いため、明るい音色になりがちです。
またヤマハは明るめでバックは少し暗め、ラッカーは明るめでシルバープレートは暗めという傾向もあります。
ツボが狭そう
こちらも上位機種に比べると若干劣ると言わざるを得ないでしょう。
しかし初心者が通常の演奏をするのに支障をきたすほどのものは僕の経験上ではほぼ無いと言えます。
言うまでもありませんがプラスチック製や中華ブランドの激安トランペットとは比べ物にならないほど品質は良いと言う事ができます。
というわけで子供や初心者向けのトランペットに関して解説してみました。
近年は様々なブランドからトランペットが販売されているのでトランペットの選択肢はとても幅広いのですが、お子さんに対して買い与える場合はこんなことに気を留めて購入を検討してみてはいかがでしょうか。