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トランペットの重さって何に影響するの?ヘビーorライトウェイト

トランペット

トランペットにはヤマハやバックのようなトラディショナルなスタイルのものからモネットやテイラー、果てはクリスチャンスコットの使用するアダムスなどのように非常に奇抜なデザインの物までさまざまです。

各メーカーともそれぞれが思い描く理想のトランペットを実現するためにしのぎを削っているわけですが、あまりにも多岐にわたるために一般の方にとっては何がなんやらという状況でしょう。

今はネットで情報が手に入るとはいえ、有名メーカー以外のトランペットに関する情報は一般の方によるアバウトな感想だったり、良くてせいぜいカタログスペックに毛が生えたようなものばかりです。

確かに様々なメーカーのトランペットを試奏して各論に入るのはあまりにも個人の好みや感想という側面が大きくなりすぎてしまい、読む側にとって役立つとはあまり思えませんし、そもそも書く側としても面倒です(笑)。

ですから今回はトランペットの重さ=ウエイトという点に着目してそれらの違いについて書いてみたいと思います。
「ウエイト」という点のみに着目すれば単にトランペットそのものの重さによる違いだけでなく、いくつかの後付けのパーツに関しても(恐らくは)同様に考えることができ、便利かなと考えました。

 

 

そもそも本当にトランペットの重さで音や吹奏感が異なるのか


特にトランペットを始めたばかりの方にとっては本当に重さの違いによって音や吹奏感に影響が出るのか疑問を持つ方もいらっしゃるかと思います。

まあ確かに初心者にとってはその違いは微々たるものです。
しかしある程度トランペットを思うように吹くことができるようになってくるとそのわずかな違いが演奏に影響してくるものです。

トランペットという楽器はその人が頭の中に描くイメージがダイレクトに音に反映してくる楽器です。
そんな楽器を演奏する上で操作性や音のディテールにこだわるのは非常に重要な事です。

 

 

重さによって何がどう変化するのか


人によって抱く感想は多少異なるかと思いますが、ざっくりとまとめると重さによる違いは以下のようなものだと思います。
単に重さによる比較ですから、当然フィニッシュや素材などの違いは一切考慮しないものとします。

 

軽いトランペット


吹奏感(吹いた時の抵抗)が軽い。


明るめで華やかな音。


周囲がうるさくても自分の音が聴き取りやすい(モニターしやすい)。


ハイトーンを出した時に素直に振動してくれて、結果的に吹きやすく感じる。


 

重いトランペット


吹奏感が重い。


ダークな音。


優しく吹くことができれば暖かいサウンド。


音に直進性があり前へ飛んでいく分、自分で聴き取れる音の割合が少ない(モニターしづらい)。


手っ取り早くパワフルな音になるが、リラックスして吹かなければバテやすい。


モネットのヘビーモデルなんかはまるでダンベル(笑)


 

 

重さに影響するパーツ、スペック

ここでは後付けするカスタムパーツも一緒に挙げてみます。

 

管、ベルの厚み

支柱の数

ヒレ

バルブガイド(トランペットの音色をパーツ交換で変えてみる

マウスピースそのものの重さ

マウスピースに取り付けるウエイト類

ピストンボタン、キャップ類(KGU Brass トリムキット

 

 

なぜ重量が音色や吹奏感に影響を与えるのか


僕は楽器製作に携わったことがありませんから、今まで様々なトランペットを吹き比べてみただけの仮説です。

 

一言で言うと手押し相撲に似てるんじゃないかと考えています。

ごく一般的な事実としてそもそも軽いものを動かす(この場合は振動させる)には少ないエネルギー、重いものを動かすにはより多くのエネルギーが必要です。
手押し相撲で相手が小柄な場合と大柄な場合の違いです。

 

トランペットの話に戻すと、トランペットはぐるぐる巻かれてはいるが基本的には一本の筒です。
なるべくシンプルに考えられるようにするため、トランペットをブブゼラのように真っ直ぐな筒にほどいて考えてみましょう。

お互いに全く同じ長さ、内径、素材でできた薄い筒(軽いトランペット)と分厚い筒(重いトランペット)を用意し、その筒に向かって一方から同じ強さの振動を送ってやると考えてみましょう。

 

 

軽いトランペット(薄い筒)


基本的に与えられた振動は末端(ベル)へ向かって逃げて行くが、薄い筒であれば全体が容易に振動する。
トランペットで言えばベル以外の部分もよく振動し、その振動が空気に伝わり耳に届くため自分の音が聴こえやすい。

→モニターしやすい。

 

与えた振動が管全体へ伝わりやすい(=吸収される)ので、振動を与えた側(演奏者)への反動は少ない(小柄な相手と手押し相撲する状態)。

→吹奏感が軽い。

 

逆に言えば既にある程度振動しているものはエネルギーを吸収している状態なので、そこからさらに振動させていくのは困難。

→ダーク、もしくはパワフルな音を出すのは困難なのはこのため?

 

 

重いトランペット(分厚い筒)


筒全体を振動させるために必要なエネルギーは薄い筒の場合より多い。
筒そのものを振動させることのできないエネルギーは筒内で跳ね返されて末端(ベル)から逃げていくか、反動として振動を与えている側(唇)へと返ってくる。

→音に直進性があり、モニターしづらい。
→反動による吹奏感の重さ(大柄な相手と手押し相撲をする状態)。

 

薄い筒とは違い、まだ振動していないものはこれから振動させる余地がある。
重いものは振動させることさえできればそれが空気に伝わり、大きなエネルギーを生む。

→ダークな音?パワフルな音

 

振動しやすいツボ、もしくは効率的な体の使い方ができれば効率よく振動してくれるが、それができないとバテやすい。

→前半は手押し相撲で大柄な相手を技術で倒した状態に近い(?)後半は相手を押したが反動で自分が倒れてしまった状態。

 

 

 

・・・というわけで本当は物理の知識が必要なんでしょうが、勉強したことが無いのでここらへんが限界です。

ただ、ここまで考えてみるといろんなメーカーのトランペットのデザインやパーツなどに対する理解も深まっていくのではないでしょうか。

例えば一本支柱と二本支柱の違いや、バルブガイドの材質、マウスピースの重さなどはもろに当てはまります。

 

ウエイトが吹奏感や音色を変化させるのはその重さが振動の伝わり方に影響を与えるからというのは恐らく間違い無いでしょう。
しかしそうであれば実際のトランペットでは単に重さだけでなく、ウエイトを加える位置や形状にもよって影響の出方は変化するはずです。

ここから考えるとトランペットの中で振動が逃げていきやすい部分を狙ってウエイトを追加したり、そもそもあなたがお使いのトランペットが振動が逃げていきやすい状態になっていたとしたら(吹きやすいかどうかは別にして)スペックどおりの性能を発揮できていないことになります。

次回はその点についても書いてみたいと思います。

 

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