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ワンポイントレッスン

トランペットにまつわる迷信について

吹奏楽部の画像

そもそも今回の記事を書くきっかけとなったのがこちらです。

トランペットの演奏に腹筋を鍛える必要はあるのか

詳細は上記記事をご覧頂きたいところですが、一言で言えば鍛えてまで腹筋を強化する必要はないということです。

このときは記事の最後に他にも吹奏楽部、ブラスバンドなどを中心として根拠のよくわからない迷信のようなものが信じられているようであると書きましたが、他にはどのようなものがあるのでしょうか。

僕の知る範囲で書いてみたいと思います。

 

 

走り込み


 

走り込みが無駄だとは全く思いません。

確かに走り込みは管楽器を演奏するために必要な心肺機能を強化するのに必要無いとは言い切れないものです。

 

しかし学校での部活動の時間は一部の学校を除き、非常に限られているものです。

走り込みに時間を使うくらいならその時間を入念なウォームアップに費やしたほうがはるかに上達のスピードは速いでしょう。

大人と比べてただでさえ運動量の多い学生のことですから、練習時間を削ってまでの走り込む必要はあるのでしょうか?

 

肺活量の小さい子供だからこそ必要と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし肺活量は正しい練習によっても増やすことが十分可能ですし、そもそも肺活量そのものが演奏技術に直結するわけではありません。

普段僕が「大きく深くブレスを」と指導するのには肺活量を大きくしようねという理由以外のものがあり、実はそちらの方が大きな割合を占めます。

 

 

机の上に楽器を置いて吹く(紐で吊ったトランペットを手を使わずに吹く)


 

どちらが元だったか忘れてしまいましたが、いずれにしろこれらはほぼ絶滅した迷信ではないでしょうか。

何かのクリニックで有名な講師が「トランペットの奏法をマスターすればこんな風にだって吹けるんだよ」という意味でトランペットを机の上に置き(もしくは天井から紐で吊ったトランペットを)、手で押さえずに吹いたそうです。

これがどういうわけか日本では「こんな風に唇にプレッシャーを掛けずに吹くのが正しい」という風に曲解されて広まったという経緯があるようです。

 

今でもSNSなんかでは両手の親指のみでトランペットを支えてハイトーンを出すというパフォーマンスをされている方がいらっしゃいます。

やろうと思ったって僕にはとても真似できませんが、特に一般の方にとってはそんな奏法を目指すことは大切な時間の無駄ですからやめておきましょう。

決してやってはいけないということではありません。

あくまで奏法や音楽を追求し尽くしたほんの一握りの方だけに許される曲芸です(笑)

 

 

反響が無いからという理由での屋外練習


 

あれは確か高校生の頃、楽器の響きを強化するために反響のない場所で練習するということを僕もやっていましたが全くの無駄でした(笑)

以前見た動画で全国大会に出場する強豪校の吹奏楽部でも全く同じことをやっていました。

確か撮影されたのは今から10年以上前であったような気がしますが、今でも行われているのでしょうか……

 

管楽器で音の響きを改善するためにはむしろ程よい反響のある空間で練習することが重要です。

楽器の響きがどんな体や息の使い方によってどのように変化していくかという経験値を蓄積することが重要なのですが、そのためには反響のない屋外での練習は逆効果としか思えません。

 

吹奏楽部なんかでは本番の舞台で練習することができれば理想的ではありますが、そんな機会は限られると思います。

かわりに少し広めの教室などでなるべく他の楽器の音がしない状況で練習してみましょう。

練習内容はいつも通りで構いませんが、自分の音がその部屋の隅々まで行き渡るようなイメージで吹くことが重要です。

またこうやって練習をすることによって響きという要素だけでなく自分自身の音色と向き合うことが可能になり、荒れた音色や細かなアーティキュレーションの違いにもより繊細に気を配ることができます。

 

良い音色や響きのイメージングのためには実際に良い音を聴くことも重要です。

逆の言い方をするならば聴いたことのないものをイメージし、それを目指して日々練習しろ言ったって無理な話です。

現代ではYouTubeなども活用できますが、理想的なトランペットの音を聴くために実際にクラシックのコンサートへ足を運ぶようにしましょう。

なるべく少人数の演奏の方が目当ての楽器の音をよく聴くことができて良いでしょう。

 

 

音程を合わせるために曲の特定箇所を何度も何度もロングトーン


 

演奏中の音程が悪いのには様々な理由が考えられますが、特に吹奏楽部や一般のバンドで音程が合わないのには演奏者の奏法や音感に起因するところが少なくないでしょう。

奏法が原因でしたらその場で一時的に音程が良くなったとしても後で必ず再発しますし、音感に問題がある場合も同じです。

単にハーモニーの確認のため何度か行うのならまだしも、良くない音程を改善するという目的で何度も繰り返させるのは全く時間の無駄です。

原因によって異なりますが、基礎練習の内容を見直すか歌によるトレーニングを導入するべきでしょう。

 

以前、吹奏楽部の合奏でハイC#の音程が悪いといってその箇所を延々とロングトーンさせられるという高校生がいて驚きましたが、なんだかんだ言いながらそれについていける君のが凄いよねと思ってしまいました(笑)

 

 

というわけで4つご紹介してみました。

全ての吹奏楽部やブラスバンドでこんなことが行われているというわけでは全くありません。

むしろ多くの団体では少なくとも僕が現役吹奏楽部員だった頃よりもかなり進んだ教育が行われており、今回取り上げたようなやり方はあまり見なくなってはいるようです。

ちなみに僕の所属していた吹奏学部はいろんな意味でグダグダでしたが、今思えば良い思い出です(笑)

関連:トランペットの演奏に腹筋を鍛える必要はあるのか

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